緑のカーテンで、夏を涼しく、さわやかにすごそう

緑のカーテンの植物といえば、ゴーヤが一般的ですが、他にも様々が植物があります。実験的建築である「繭(茨城県つくば市)」での経験に基づき、緑のカーテンとして楽しめる植物と育て方を、ご紹介します。

食べられる植物で緑のカーテンをつくってみよう。

初夏に勢いよく育つ葉の大きな夏野菜を、陽射し避けにしてみましょう。一年で終る野菜の他に、樹木の果物にも緑化に適したものもあります。窓辺に実った野菜やくだものは、眺めても、食べても楽しく、豊かな気持ちにしてくれます。

種を蒔くことからはじめよう。

春は種まきの季節。しかし、ここつくばでは5月過ぎても霜が降りる日があります。寒さに弱い夏野菜はポットに種をまいて日の良く当る室内で苗を育ててから、植え付けるのが良いと思います。この時、写真左のセルポットよりも写真右のようなポットの方が苗を大きくできるし、植え付けの時に土も崩れ難いので使い勝ってが良いように思います。また、種まき用の土を用いると発芽率が上がる感じです。4月はマメ科、5月からキュウリ、カボチャ、6月からゴーヤの種を蒔きます。

植える場所を考えてみよう。

ナス科、マメ科、ウリ科、アブラナ科の野菜は連作障害を起こしやすいので一年ごとに植える場所を変えます。アブラナ科はキャベツやダイコン、コマツナ等で、つる植物ではないので窓辺のスペースからは外します。ナス科、マメ科、ウリ科、その他の科の4区画に分けてローテーションです。ナス科のトマトを外せば3区画ですね。ひと区画分のスペースしかないのなら、毎年違う科のものを植えるとよいでしょう。連作障害がなさそうなその他の科としては、オカワカメ(ツルムラサキ科)や、トウモロコシ(イネ科)、ヒマワリ(キク科)などが挙げられます。

ナス科 マメ科 ウリ科 その他の科
トマト インゲン、サヤエンドウ、アピオス キュウリ、カボチャ、スイカ、ゴーヤ、ヘチマ
春はマメ

春先に最も元気なのはサヤエンドウです。一番最初に収穫できます。

まずは、マメ科の植物から種まき、植え付けをしてみましょう。インゲンやモロッコインゲン、モンスターインゲンは、早く成長し、背も高く、相当な量の収穫が望めるすぐれもの。 6月過ぎてからは、まばらな場所に種を直播していけば、すぐに成長し、10月ごろまで常に収穫できます。大きな葉ではないので、さっぱりした印象です。
夏野菜といえばキュウリ

ですが、病虫害にあいやすく、育てるのが難しい野菜だと思います。

寒さやアブラムシにやられて途中で生育が止まってしまうものもあるので、苗の植える時期をずらしてみるのも対策のひとつです。 順調に育てば、毎日たべきれないほど次々と収穫できます。聖護院キュウリは背丈も高くなり葉も旺盛に茂るのでおすすめ。
定番のゴーヤ

ゴーヤは、沖縄など暖かい地域の植物なので充分に暖かくなってから植え付けます。暑ければ暑いほどよく成長するようです。

アサガオ

日本種のアサガオは素朴で可憐。しかし葉はそれほど多くないので、他の植物と混植するのがよいかも。

ヒルガオは、いわゆる雑草ですが、きれいな薄桃色の花です。葉は細く日よけにならず、つるが強いので秋に取り払う時にやっかいです。
ヘンリーブルーなどの西洋アサガオは青や白の花をたくさん咲かせて目を引きますが、8月の終わりごろから茂り始め10月ごろまで勢力があるので、日よけとしては時期が遅くなってしまいます。 1シーズンで驚くほどの勢力がありますが、つるが強く秋に片付けるのが大変。アブラムシが付きやすかった。やっぱり食べられる植物の方がいい。
カボチャがいちばん

つる性の夏野菜では、かぼちゃが最も頼もしい。がんがん発芽し、どんどん伸びる。葉も大きいので日よけになります。

空中に浮くカボチャ。特に手入れをしなくてもつるがしっかりしているので自然に実が支えられています。秋になると自然にかれて片付けも楽。すいかは繊細で、壁面での栽培に失敗しましたが、カポチャは頑丈でした。 トマト

トマトも勢力旺盛な夏野菜。しっかりと大きい実を穫るには1本,2本仕立てにしてわき芽を摘んで、と手入れも忙しいですが、すぐに茂るのでそのまま誘引します。

確実なぶどう

ぶどうは樹なので一度植えたら毎年その場所に木陰をつくってくれます。植え時は秋か春。5月ごろになると新葉が出始めてたくさんのつるを伸ばします。初夏にはしっかりとした日よけになってくれます。

野菜は手入れが難しかったり、夏までに充分に葉が茂らなかったりしますが、ブドウなら確実に枝から葉が出そろって、緑豊かな外観をつくってくれます。葉もきれいでボリュームがあります。左写真は植えてから2年目の巨峰。高い位置に葉が茂ってくれる。左写真は1年目のスチューベン。7月頃の様子。元気に伸びて秋にはすっかり1階の天井を超えました。
キウイ

他に、つる性の果樹としてキウイもありますが、11月ごろまで茂っているのと、大抵は2本ないと受粉しないので(1本だけで実のなるキウイもあります)2本植えるスペースが必要ということで、ここでは採用しませんでした。

ブラックベリー

ブラックベリーもつる性なので、ロープにからんでくれます。葉はあまり大きくないので、株が大きくなり、葉が密集すれば日よけにもなるのでしょうか。昨年植えてみました。

パッションフルーツ

くだものトケイソウの実がパッションフルーツ。試してみたい植物。

ぶどうの実がなるのは植えてから2年目。特になにもしなくても実がなりました。黒く熟した実は甘くておいしい。実ができたころに実を整理すると形よく大きな実ができるそうです。袋掛けもなにもしませんでしたが、そこそこのぶどうになりました。 秋には落葉し、枝だけが残ります。お礼肥をして、2月に伸びた枝を剪定してあげると、また新しい枝がたくさんでるそうです。ちょっとしたスペースがあれば、ぶどうが最もお勧めです。昨年はぶどうの下でトマトをつくりました。

ムベ

ムベは、唯一の、日本の種で、食べられる実のなる、常緑のつる性植物と言ってよいのではないでしょうか。

野菜も果樹もほとんどのものが一年草か冬には葉が落ちる落葉樹。冬はあまりにも殺風景なので、常緑のものが欲しい時には、ムベ。アケビ科の植物で、アケビに似た実ができる。アケビは落葉。成長は比較的ゆっくりなので近づけて2本植えても良さそう。

オカワカメ(アカザカズラ)

ツルムラサキ科の植物。肉厚の葉をゆでて食べます。ミネラルやビタミンAが豊富。ゆでると粘りがでて、メカブのようです。半耐寒球根とのことなので、冬には球根を保管しておき、次の年には別の場所に植えるとよいのでしょうか。おいしかったので今年試してみたい。


プランターもつくってみよう。

シンプルで味わいのあるプランターがなかなかないので、つくってみました。

杉板に、白い自然系の塗料を塗りました。底のない箱の内側には箱状に折った厚めのビニールを入れて、細かな水抜き穴をいくつも開けています。底に鉢底石を敷き、土は屋上緑化に用いる軽量土壌「ネニプラス」と「パーライト」「赤玉土」などを混ぜています。プランターは乾きやすいので夏は毎日水まきが必要です。

ロープについて

つる性植物をからませるには、ロープが必要です。ホームセンターなどで販売している緑のカーテン用のネットを用いるのが簡単でしょうが、どうもあのハデな緑色が気になるという方は、ひと味違うロープはりのデザインに挑戦しましょう。

こちら「繭」では、建物の足下と屋上にロープを結びつける金物を目立たない所に取付けています。屋上からロープを垂らして、いくつものロープで建物を包むように、ロープを斜めにして足下で結んでいます。斜めにしているのは、ロープが交差することで植物が、横方向にも伸びて行けるようにデザインしたものです。クレモナロープ径6ミリを使用しています。

ロープも建物のデザインのひとつにしたかったので、さわやかな印象のある白いロープにしました。逆に、ロープの存在を消したい時は黒いロープが良いでしょう。全く目立ちません。ナチュラル感を出したい時は竹や麻ヒモが良いでしょう。

2010年は猛暑でしたが、外周に巡らせた植物のおかげで、エアコンは補足的に使うのみですみました。また、駐車場は芝生にしているので、照り返しもなく、夜にはひんやりします。ぶどうに味をしめて、昨年の秋にぶどう苗をまた増やしました。食べられる植物による緑化の楽しさは毎年建物の外観が変わる事。今年はどんな感じで植物が育ってくれるか、ささやかな楽しみです。
NHKテレビテキスト趣味の園芸やさいの時間 2013年5月号 に掲載されました。

AGRITECTUREとして計画した実験的建築

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